2024.12.16

TOPPANデジタルが目指すデジタルコンテンツの真正性証明

MVW

TOPPANデジタルが目指すデジタルコンテンツの真正性証明

デジタルコンテンツ真正性証明の実証実験を実施

TOPPANデジタルは、メタバースやデジタル空間におけるデジタルコンテンツの真正性を証明するための技術「AVATECT®」を活用し、実証実験を行いました。実験では、平将明衆議院議員の公式サイトに掲載された画像に電子透かしと来歴情報を埋め込み、コンテンツが改ざんされていないことを確認する仕組みを検証しました。この実証は、フェイクニュースの抑止やデジタルコンテンツの信頼性向上を目的としています。

実証実験の背景と目的

AI技術や画像編集ソフトの進歩により、デジタルコンテンツの改ざんや不正使用が問題化しています。特に政治分野では、情報の真正性を保証することが重要です。2024年2月に開催されたミュンヘン安全保障会議で発表された「ミュンヘンアコード」では、選挙におけるAI不正利用への対策が議論され、グローバルな問題意識が高まっています。

TOPPANデジタルは、こうした背景を踏まえ、画像やアバターに電子透かしやNFTを付与する技術「AVATECT®」を2022年から提供。この技術を活用して、フェイクニュースの抑止とデジタルコンテンツの信頼性向上を目指しています。

実証実験の内容

実施概要

期間: 2024年10月11日～12月27日
対象: 平将明議員の公式サイト掲載画像
手法: C2PA規格準拠の電子透かしと来歴情報を画像に埋め込み、拡散後の改ざん有無を検証。

この実験では、公式サイトに掲載された画像がSNSや他のウェブサイトで二次利用されるシナリオを想定。電子透かしが拡散後も保持されているか、改ざんされた場合の検出精度を評価しました。

検証結果と課題

成果

電子透かしと来歴情報の埋め込みにより、コンテンツが改ざんされていないことを確認できることが実証されました。
特に、C2PA規格を用いた来歴情報は、情報源の信頼性を高める有効な手段として評価されました。

課題

SNSにアップロードされた画像は、圧縮処理により電子透かしが劣化する問題が判明。特に、SNSごとに対応が必要です。
画像加工（切り抜き、オーバーレイ文字追加、AI編集など）の種類によっては、電子透かしの検出精度に影響が出るケースが確認されました。

これらの課題を解決するため、精度向上とSNS対応策が引き続き研究されています。

今後の展望

TOPPANデジタルは2025年度内に「AVATECT®」を正式リリースし、政治やエンターテインメント分野のコンテンツ保護に役立てることを目指しています。この技術は、選挙情報の真正性保証や著名人のコンテンツ保護など、広範な用途での活用が期待されています。

また、関連団体と連携し、技術の改善と普及を進めることで、フェイクニュースの防止や情報信頼性の確保に貢献します。このような取り組みを通じて、デジタル社会における正確な情報流通の実現を目指しています。

まとめとコメント

「TOPPANデジタル」が進めるデジタルコンテンツの真正性証明は、AI技術や画像編集ツールの発展によるリスクに対応する先進的な取り組みです。電子透かしとC2PA規格に基づく来歴情報の埋め込みは、フェイクニュースの抑止やコンテンツの信頼性向上に寄与する技術として大きな期待を集めています。

ただし、SNSの画像圧縮や特定の加工による影響を解決するには、さらなる技術革新が求められます。これらの課題を克服することで、メタバースやデジタル空間での信頼性向上に寄与する可能性があります。TOPPANデジタルが目指す社会では、デジタルコンテンツが正確かつ信頼性の高い形で流通し、私たちの生活や情報環境をより安全で豊かなものにするでしょう。