ウォルマートのメタバース戦略:キーワードはZ世代とインフルエンサー
ウォルマートのメタバース戦略:キーワードはZ世代とインフルエンサー
ウォルマートのメタバース進出
ウォルマートは、2024年5月22日に新しい3D eコマースプラットフォーム「ウォルマートレルム(Walmart Realm)」を発表しました。このバーチャルショッピングプラットフォームは、ユーザーが幻想的な仮想世界で商品を購入できる新しい体験を提供します。他の企業がAIなどのトレンドにシフトする中、ウォルマートはメタバースへの投資を拡大しています。
「Walmart Realm」の特徴
ウォルマートレルムは、以下のような仮想スペースを提供しています。
- So Jelly: 水中の世界
- Y’allternative: 西部開拓時代とゴシック美学の融合
- Go Chromatic: 宇宙空間のメタリックな環境
ユーザーはこれらの仮想店舗内を探索し、商品をクリックしてカートに入れ、Walmart.comでチェックアウトすることができます。
メタバースへの投資の背景
ウォルマートは、4000店舗以上の実店舗を持つ巨大企業ですが、メタバースを通じて新しい収益源を模索しています。メタバースは、ゲーミング、ソーシャルメディア、eコマースが交差する未来のインターネットとして期待されています。
戦略的意図
ウォルマートのブランドエクスペリエンスおよび戦略パートナーシップ担当ディレクター、ジャスティン・ブレトン氏は、「没入型コマースの未来をテストし、学習する場」としてこのプラットフォームを位置づけています。ウォルマートレルムは、従来のウェブサイトやアプリを補完する新しいコマース体験を提供します。
過去の取り組みと今後の展望
ウォルマートは、2022年にもメタバースに進出しており、フォートナイトやRobloxの仮想世界で若い顧客とつながる試みを行ってきました。例えば、Roblox上で「Walmart Land」や「Walmart Universe」という没入型体験を提供し、バーチャルアバター用の商品を販売してきました。
最新の取り組み
ウォルマートは4月29日に、Robloxのバーチャルプラットフォーム内で物理的な商品を直接販売する計画を発表しました。ウォルマートレルムは、エンペリア(Emperia)というバーチャルショッピング会社のプラットフォーム上に構築されています。エンペリアは、ロクシタンやブルーミングデールズ、ボスなどのデジタルストアを構築してきた企業です。
Z世代をターゲットにした戦略
ウォルマートレルムは、特にZ世代をターゲットにした商品ラインナップを展開しています。インフルエンサーのチームを起用し、ソーシャルトレンドにインスパイアされた美容、ファッション、インテリア用品を約100点提供しています。
ゲーミフィケーションとユーザーエンゲージメント
ウォルマートレルムは、オンラインショッピングにビデオゲーム風の要素を取り入れています。例えば、「Go Chromatic」では、テトリスにインスパイアされたミニゲームで100ドルの懸賞が当たるチャンスがあります。さらに、仮想空間内でウォルマートのシグネチャーである黄色い星のロゴの形をしたトークンを集めると、20%オフクーポンなどの特典が得られます。
インフルエンサーによる集客
ウォルマートは、TikTokで1,100万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーチームを活用して、ウォルマートレルムの集客を図っています。これにより、ユーザーがプラットフォームを訪れ、商品を購入する動機付けを行っています。
まとめ
ウォルマートのメタバース戦略は、仮想世界への積極的な投資を通じて、新しい収益源を模索するものです。ウォルマートレルムは、ユーザーに没入型のショッピング体験を提供し、特にZ世代をターゲットにした戦略を展開しています。この取り組みは、今後のオンラインショッピングの新しい形を示すものであり、ウォルマートの次世代のeコマース戦略の重要な一環となるでしょう。
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