2024.10.17

オンデマンドモビリティ「みなのり」：交通不便地域解消実証運行開始

MVW

都市部におけるオンデマンドモビリティ「みなのり」：高輪地区の交通不便地域解消に向けた実証運行開始

都市部の交通課題に応える「みなのり」の登場

2024年11月1日から2025年9月30日まで、東日本旅客鉄道株式会社（JR東日本）、KDDI株式会社、国際ハイヤー株式会社が共同で、東京都港区高輪地区でオンデマンドモビリティ「みなのり」の実証運行を開始します。このプロジェクトは、交通網の不足するエリアや効率的な移動手段が求められる地域での新たな交通サービスを提供することを目的としています。

この取り組みは、地域住民や観光客の利便性を向上させ、東京都の高輪地区における交通課題を解決するための重要な試みです。特に、高輪地区は南北方向の交通手段は充実しているものの、東西方向への移動が不便であり、さらに急勾配の坂道や狭い道路など地形的な制約も多いため、従来の交通手段ではカバーしきれない地域となっています。「みなのり」は、こうしたエリアに対して、柔軟かつ効率的な移動手段を提供し、地域の生活環境を向上させることを目指しています。

オンデマンドモビリティとは？

「オンデマンドモビリティ」とは、利用者が希望する時間や場所に応じて柔軟に移動ルートを設定し、サービスを提供する新しい交通手段です。従来の公共交通とは異なり、固定の運行ルートや時刻表に縛られることなく、利用者のリクエストに基づいてリアルタイムに最適な移動ルートをAIが生成し、効率的な移動を実現します。

特に今回の「みなのり」では、AIが道路状況や利用者の移動リクエストをリアルタイムに分析し、複数の乗客が効率よく相乗りできるルートを提案します。これにより、従来のタクシーやバスといった交通手段に比べて、待ち時間を短縮し、移動の快適さとスムーズさが大幅に向上することが期待されています。

実証運行の概要

「みなのり」の実証運行は、港区高輪地区を対象に行われ、期間中は毎日8:00から20:00まで運行されます。運行エリアは、高輪地区総合支所を中心とした半径約2km圏内で、主要な交通スポットや商業施設、病院、観光地などをカバーします。乗降スポットは約20カ所が設置され、ユーザーは専用アプリを通じて乗車予約を行います。

予約システムと利用方法

利用者は、事前に専用アプリをダウンロードし、アカウントを登録することでサービスを利用できます。アプリを使用して、乗車地点と降車地点を指定し、AIが最適なルートを計算して移動をサポートします。乗車予約は、iOSおよびAndroidデバイスに対応しており、簡単な操作で予約が完了します。スマートフォンを使えないユーザー向けには電話での予約も提供されており、幅広いユーザー層に対応しています。

支払い方法は現金ではなく、クレジットカードなどのキャッシュレス決済が導入されており、非接触での利用が可能です。また、家族向けの割引や、高齢者や障がい者に向けた特別料金も設定されており、さまざまなニーズに対応した柔軟な料金体系が提供されます。

みなのりのコンセプトと課題解決への期待

今回の実証運行は、「みんなで創る、地域の新しい交通サービス」というコンセプトを掲げ、地域住民や観光客の生活をサポートします。特に、従来の公共交通ではカバーしきれなかった交通不便地域に対して、きめ細かいサービスを提供することが期待されています。

高輪地区は、観光地としての魅力を持ちながらも、地形的な制約や交通網の不足が原因でアクセスが不便な場所が多く存在しています。「みなのり」は、これらの課題を解決し、地域住民や観光客にとって利便性の高い移動手段を提供することで、エリアの活性化にも寄与します。特に、商業施設や観光スポットを効率的に回遊できるようになることで、地域経済の発展にも大きな影響を与えることが期待されます。

先進的な技術を活用したオンデマンドモビリティの未来

オンデマンドモビリティは、従来の公共交通の弱点を補完するだけでなく、AIやIoTといった先端技術を駆使して、さらなる効率化と快適さを追求しています。今回の「みなのり」では、JR東日本が地域との連携で培ってきたノウハウに加え、KDDIのデジタル技術が組み合わさることで、より高度な交通サービスが提供されます。AIを活用した最適ルートの生成により、利用者は無駄なく目的地に到達でき、さらに他の利用者との相乗りが可能なため、環境負荷の軽減にも貢献します。

また、国際ハイヤー株式会社の協力によって、乗車中の快適さや安全性が高く保たれています。特に、EV車両や水素車両といったエコロジーな移動手段が積極的に導入され、持続可能な都市交通の実現に向けた取り組みが進められています。

今後の展開と期待される成果

今回の実証運行を通じて得られるデータや利用者からのフィードバックは、今後のオンデマンドモビリティサービスの拡充に向けた重要な指針となります。特に、東京都内や他の都市部での導入が期待され、地域の特性に応じた柔軟な運行が可能となることで、全国的な展開も視野に入れたサービスの開発が進められるでしょう。

また、2025年3月に予定されているTAKANAWA GATEWAY CITYのまちびらきに合わせて、周辺地域との交通接続が強化されることで、地域全体の回遊性が向上し、さらなる観光需要の喚起が期待されています。これにより、高輪地区が東京都の新たな観光拠点として成長し、経済的な活性化が見込まれます。

まとめ：オンデマンドモビリティがもたらす都市交通の未来

「みなのり」の実証運行は、都市部における新しい交通手段の可能性を示すものです。AIを活用したオンデマンドモビリティは、従来の公共交通が抱える課題を補完し、住民や観光客にとってより快適で効率的な移動手段を提供します。特に、高輪地区のような交通不便地域においては、この新しいサービスが大きな役割を果たすことが期待されています。

オンデマンドモビリティの導入は、都市部の交通インフラにとって重要な一歩であり、今後も技術の進化とともに、さらに多くの地域で活用されることでしょう。

参照元: 都市部におけるオンデマンドモビリティ「みなのり」の実証運行を開始