軍艦島のメタバース化:バーチャルプロダクション向け3Dデータ提供開始
軍艦島のメタバース化:バーチャルプロダクション向け3Dデータ提供開始
はじめに
メタバース プロダクションは、世界遺産「軍艦島」の3Dデータをバーチャルプロダクション向け背景素材として、2024年7月5日より提供開始します。この取り組みは、貴重な自然や文化の3Dデータ化を推進するHERITAGE DATABANKとの連携プロジェクトの一環として実施されます。
軍艦島の歴史と背景
軍艦島の概要
軍艦島は、長崎港から南西約18kmに位置する海底炭鉱の島で、日本初の鉄筋コンクリート造高層アパートが建設されるなど、明治日本の近代化を支えた重要な遺産です。2015年には「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として世界遺産に登録されました。しかし、1974年の炭鉱閉山以降、建物は老朽化が進んでおり、保全が困難な状況にあります。
HERITAGE DATABANKプロジェクト
HERITAGE DATABANKは、2023年に始動したプロジェクトで、世界遺産などの貴重な自然や文化を3Dデータ化して保存し、保全活動に活用することを目的としています。今回、長崎市の協力を得て、軍艦島全島のデジタルアーカイブ化に成功しました。このデータは、バーチャルプロダクション向けに提供されることで、新たな映像制作の素材として活用されます。
メタバース プロダクションの取り組み
3Dデータの提供
メタバース プロダクションは、デジタルアーカイブ化された軍艦島の3DデータをUnreal Engineで開発し、バーチャルプロダクションに対応した背景素材として提供します。この素材はインカメラVFX撮影に対応しており、リアルタイムで自然な合成映像を作成することができます。
保全活動への貢献
3Dデータの利用料の一部は、長崎市へ軍艦島の保全予算として還元されます。これにより、デジタル技術を活用して文化遺産の保全に貢献する新しいモデルが構築されます。
今後の展開
PXサービスの拡充
- メタバース プロダクションは、業界の垣根を越えた連携を深め、映像制作の新たな選択肢としてPX(プロダクション・トランスフォーメーション)サービスの拡充・拡張を目指しています。これにより、より多くのクリエイターが高品質な映像制作を実現できる環境を提供します。
PX(プロダクション・トランスフォーメーション)とは
PX(プロダクション・トランスフォーメーション)は、映像制作のプロセスを革新する新しいアプローチです。背景となる高精細LEDディスプレイに仮想空間を投影し、その前に配置された被写体と組み合わせてリアルタイムで自然な合成映像を作成します。これにより、従来のグリーンスクリーン技術よりもリアルな背景と被写体の統合が可能となり、撮影現場の効率とクオリティが大幅に向上します。また、セットの移動や複数のロケーション撮影が不要になり、コスト削減や環境負荷の軽減にも貢献します。PXは映画、テレビ、広告など幅広い分野での活用が期待されており、映像制作業界全体に革新的な変化をもたらす技術です。
まとめ
軍艦島の3Dデータ提供は、メタバース プロダクションとHERITAGE DATABANKの連携による画期的なプロジェクトです。この取り組みは、貴重な文化遺産の保全と新しい映像制作の可能性を示すものであり、今後の展開に期待が寄せられます。デジタル技術を活用した文化遺産の保全は、持続可能な未来に向けた重要なステップとなるでしょう。
参照元
世界遺産関連記事
- 白川郷と五箇山の世界遺産をデジタルで体験:メタバース技術の活用 – MetaVeRseworld
- サウジアラビアが文化遺産を探求するメタバースプラットフォームを開始 – MetaVeRseworld
- デジタルの復活:大祖岩彫刻のクラウドツアーメタバースが開始 – MetaVeRseworld