2024.12.06

メタバースと法：VRを活用した先端的法律教育

MVW

メタバースと法：VRを活用した先端的法律教育

早稲田大学の画期的な寄附講座「メタバースと法」

早稲田大学法学部は、2024年度に「先端科学技術と法コース」の一環として、寄附講座「メタバースと法」を展開しています。この講座は、メタバース空間を利用し、法的課題の探求を深める教育を目的としています。講義は、株式会社VLEAPが開発したメタバースシステムを活用し、全員がVRゴーグルを装着することで、従来の教育形式を超えた新たな学びを提供します。

メタバースと法の教育的意義

仮想空間における新しい法的課題

メタバースは、仮想空間で構築されるコミュニティや経済活動の場として、急速に発展しています。しかし、そこではアバター間のトラブルやプライバシー侵害、データ所有権、さらには迷惑行為など、これまで想定されていなかった課題が顕在化しています。「メタバースと法」講座では、これらの新しい課題を体感的に学ぶことで、法規制のあり方や社会的なルールの整備について考察します。

ELSI（倫理的・法的・社会的課題）への対応

メタバース空間は、先端科学技術が社会に実装された際に生じる倫理的・法的・社会的課題（ELSI）への対応力を育む格好の場です。この講座は、法学を学ぶ学生が将来、これらの課題に取り組むリーダーとなることを目的としています。法的知見をもとに、課題解決型の教育を提供します。

技術的基盤と講座の運営

株式会社VLEAPが提供するメタバースシステムは、35名の同時アクセスが可能な専用空間を実現しています。以下の技術が活用されています。

軽量化技術
メタバース空間の快適な利用を可能にする軽量化技術が実装されており、VRゴーグルを用いた長時間の授業でも支障なく進行できます。
授業運営の効率化
出席記録の自動取得や、グループワークの振り分け機能が搭載され、効率的な授業進行を支援します。
仮想空間の再現
あいおいニッセイ同和損保の本社ビルが仮想空間にリアルに再現されており、実際の企業環境を基盤とした学びが可能です。

さらに、VRに不慣れな学生や技術的課題への対応のため、現地サポートチームが授業運営をサポートします。

実際の講義内容と成果

2024年度の講座では、学生がVR空間に没入しながら、メタバース内でのトラブルや法的課題を具体的に学びます。具体的には以下のような活動が行われています。

アバター間のトラブルを模擬したシナリオ演習
データ所有権やプライバシーに関するグループディスカッション
規制案の策定とプレゼンテーション

これらの活動を通じて、学生たちは実践的な法的知識を深めるだけでなく、メタバースが社会にもたらす影響についても広く考察する機会を得ています。

メタバース教育の未来

「メタバースと法」のような教育プログラムは、メタバースの技術と現実社会を橋渡しする重要な試みといえます。この講座で培われた知見は、今後の法規制や社会的ルールの策定に役立つ可能性があります。また、メタバースを活用した教育は、オンライン授業の新たな形として他の分野への応用も期待されています。

まとめ

「メタバースと法」講座は、技術と教育の融合により、未来の法律教育の可能性を切り開いています。仮想空間における法的課題への取り組みを通じて、学生たちはこれからの社会で必要とされる法的リーダーとしての素養を育むことができます。この取り組みは、メタバース技術の発展とともに、教育の在り方を根本から変える可能性を秘めています。