電通グループ、Web3.0研究成果をBains numériquesにて発表
電通グループ、Web3.0研究成果をBains numériquesにて発表
電通グループの取り組み
株式会社電通グループは、デジタルアート国際ビエンナーレ「Bains numériques」にて、Web3.0技術を活用した研究成果を発表しました。この発表は、視聴者のアイデンティティ情報を再生コンテンツに反映させるARアプリやNFTを活用した個人のアイデンティティ情報を実空間での与信として利用する環境設計など、最先端の技術を展示しています。
研究背景と目的
AR Identityの研究
電通グループのR&D組織「電通イノベーションイニシアティブ(DII)」は、AR開発者の川田十夢氏およびWeb3.0ウォレットサービス「unWallet」を提供するシビラ株式会社と共同で、デジタル空間における個人のアイデンティティ情報を実空間で活用するための「AR Identity」研究を進めてきました。この研究は、個人の行動の幅を広げ、コミュニケーションの機会を創出する可能性を検討するものです。
ghost Linkの技術
また、朝日放送テレビ株式会社らと共同で実施した「ghost Link」という実空間型のトークン認証ペアリング技術の研究も行っています。これにより、実空間でのトークン利活用動線を簡便化する技術知見を得ました。
インスタレーション作品
AR Identity作品
「Bains numériques」で展示されたインスタレーション作品の一つは、ARアプリ操作者のアイデンティティに応じて現実空間に重畳されるARコンテンツが変化する体験型の作品です。この作品では、旅行者が見ている対象物をリアルタイムで解析し、個々のWeb3.0ウォレットに格納されているNFT群から当人の文化背景やアイデンティティを導出して、ARコンテンツの表現を動的に変化させます。
Crypt Cubism作品
もう一つのインスタレーション作品は、Web3.0ウォレットがAIエージェントになる未来の「自己主権型アバター・エージェント」の可能性について考察するビデオグラフィです。この作品では、ウォレットの利用が財物の所有や譲渡だけでなく、アイデンティティを他者に示し、共感を得る手段としても用いられる未来を描いています。
デジタル空間における人権の拡張
電通グループは、これらのインスタレーション作品を通じて、Web3.0技術が従来の人権概念をデジタル空間へと拡張する可能性について討論します。フランスで開催される「Bains numériques」関連プログラムのシンポジウムにおいて、有識者とのラウンド・テーブルを行い、展示インスタレーションに対する体験者の反応や討論内容を公開予定です。
フランスにおける人権意識
フランスは、世界の人権議論において主導的役割を果たしてきました。「人間は生まれながらにして自由平等であり、その権利は国家などから与えられたり、奪われたりするものではない」という考え方が一般に広く受け入れられています。また、2008年には人権に関する全国諮問委員会(CNCDH)の報告書で、企業が担うべき責任を明確化し、2017年には人権に関する注意義務を企業に求める法律が成立しました。
まとめ
「Bains numériques」で発表された電通グループの研究成果は、デジタル空間におけるアイデンティティの活用と人権の拡張に関するものであり、未来の情報環境についての重要な洞察を提供します。AR技術やNFTを活用したこれらの研究は、個人のアイデンティティ情報をどのようにして実空間で活用し、コミュニケーションの機会を創出するかに焦点を当てています。
これにより、デジタル空間と実空間の融合が進み、私たちの生活に新たな可能性がもたらされるでしょう。今後も、電通グループはこれらの技術の発展に寄与し、社会全体の進化に貢献していくことが期待されます。